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「IT × 開発者支援」を通じて"エンジニアの幸福度"を高めるために人生をハックしながら学んだことをお届けします

神様からの贈り物「DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C」書籍

皆さん、こんにちは。職業「戸倉彩」です。

2019年11月15日。 国内でDevRelを牽引してきた中津川篤司さん、小島英揮さんと共著で、翔泳社より 「DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C」 書籍を出版いたしました。

人生で商業誌を出版するのはこちらで2度目となります。

普段のテクニカルライター活動している月刊誌の連載技術記事とはまた異なり、試行錯誤の連続でした。 それはとても難産でした。

製本された見本誌が手元に届いた時には「生まれてきてありがとう」と心の中で叫びました。そして発売日当日。多くの方々に祝福されながら、読者様の手元へと書籍が届けられ始めました。

発売日から40日。

商業誌を一冊でも書いた経験のある方は、難産の末にやっと出版にこぎつけた書籍が、全国の書店の棚に1ヶ月以上も陳列されていることが奇跡だということを実感されたことがあるかもしれません。少しでも長く愛される書籍であって欲しいと願いながら。

今回は、「DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C」書籍の出版に纏わるエピソードについて綴っていきます。

DevRelでデベロッパーの可能性を広げたい気持ちが原動力

これまで、DevRel Meetup in Tokyo コミュニティの登壇や同人誌の頒布などを通じて 「DevRelの始め方やコツ」 が分からずに悩んでいる企業やエンジニアの方々を支援してきました。中には、これからDevRelを盛り上げようとしているエンジニア仲間と個別に会議室に集まって対話を重ねながら、DevRelについてどのように所属先の上層部に理解してもらい、限られたリソースでどのようにパフォーマンスを引き出すことができるのかを議論し、最適な方法について何時間もディスカッションを行なったこともありました。

しかし、これまでのご依頼や出会いは100%、直接お会いしたことのある方々でした。

これは非常にありがたいことであり、信頼や期待を裏切れないという心地よいプレッシャーを感じながら、自分自身を前進させる力になりました。

一方で、国内で 「DevRel」 についてもっと多くの方々に伝え、DevRelを定着させるためには、より最適なアプローチを見つけ出す必要がありました。そこで知人の紹介で知り合った今回のDevRel書籍の編集をご担当いただいた大内孝子さんに相談し、自分の出した答えが「商業誌」でした。

次に、DevRelの魅力を伝えるには、独りよがりでないノウハウや情報を集約することが必要だと考えました。受け取り手を魅了しつつ、実践的な情報の充実を担うためには...。そこで、定評のある方々とのコラボレーションが欠かせないと判断したのです。日本で初めてDevRelに特化したビジネス展開されている中津川さんと、AWSのユーザーコミュニティをゼロから育て上げた小島さんにご快諾いただき、執筆活動がスタートしました。

共著と言えども書籍を出版するということは、熱量的にも情報量的にもセミナー数十本分のエネルギーが必要でした。現在、電子書籍も増えてきている中で、「紙の書籍」 で出すことの緊張感もありました。

DevRel執筆と技術啓蒙の共通点

原稿を書き進めていく中で、普段、デベロッパーアドボケイトとして開発者の方々に技術を伝える活動を行う際に求められる多くのことと共通しているのを感じました。ここからは、その中でも最も大切なことを5つに絞ってお伝えします。

1. ターゲットとの合意形成

優れた情報を発信しても、受け取り手がその情報を必要としていなければ、当然ながら心に響きません。狙うターゲットを明確化し、その層に分かりやすく伝わるメッセージを心がけました。また、一人でも多くの読者の方が、自分ごと化できるように工夫しました。

2. 学習

書籍を書くということは、学習に大きく寄与します。 頭の整理をしながらも、読んでもらうための視点を忘れずに取り組みました。この書籍を執筆している期間は約20冊以上の読書をしました。過去に役立った書籍を読み返したり、気になった書籍を購入して新たな自分の世界が広がりました。

3. 情熱

目の前の時間を3年5年先に置いて妄想を繰り返しながら「今」伝えるべきことを魂を込めて書き綴りました。また、自分のDevRelに対する情熱や考えを全力で共有することで、読者の方々に元気になっていただくと同時に、内容を理解していただいた後に「よし、やってみよう!」という意気込みを感じてもらえるように自分なりの文章力で表現しました。

4. 経験談を交える

国内のIT業界でテクニカルエバンジェリストデベロッパーアドボケイトに従事した経験のある人は限られています。可能な限り、「あの時」どうだったのか、そして「今」どうなのか、という実体験を交えて解説するようにしました。

5. 感謝の気持ち

多くの方々にご支援ご協力いただきながら、皆さんに楽しみながらDevRelを学んでいただける内容を準備しました。1冊の書籍の販売にどれだけ多くの方が関わり、どれだけ多くの時間と情熱が注ぎ込まれているか計り知れません。感謝の気持ちでいっぱいです。

開かずの箱が空いた瞬間

前職でテクニカルエバンジェリストの看板を下ろし、最終出社日に会社に置いてあった荷物を約6年間の思い出と一緒にダンボール1箱に詰め込んで自宅に持ち帰りました。当時、会社の都合によりブロード(ターゲットリストではなく、全てのエンジニアのために活動すること)に対してDevRelを遂行できるポジションがクローズとなり、自分の役目を終えた満足感と喪失感を同時に感じていました。箱は閉じられたまま約1年の月日が経ちました。現職のデベロッパーアドボケイト活動の合間を縫って執筆したDevRel書籍の最終入稿が無事に終わり、それまで走り続けてきた心身が一気に解放されたかのように部屋の片付けを始めた、その時です。まるで開かずの扉が空いた瞬間のようでした。閉じられたままのダンボール箱を開けたたことで、当時のDevRelの相棒だった数々のキャラクターのノベルティや私物に再会し、やっとあの時に止まってしまった時間と気持ちから解き放たれた気持ちになりました。大きな変革には痛みを伴いますが、成長への道はその先にしかないのもまた事実であることを再確認しました。何よりも、DevRelができる場所を追い求め、極め続けていなければ、このタイミングで、この世に今回のDevRel書籍は生まれていなかったことでしょう。

最後に

「DevRel書籍で世の中にどんな影響を与えたいですか?」と聞かれたら、 「DevRelの道を進みやすくして、日本にイノベーションを起こすために企業とエンジニアが共創するためのエコシステムを推進していきたい。」と答えるでしょう。それは、とても意味があることだと考えています。 そのためには、皆さんのご支援が必要です。この記事を読まれているということは、恐らくDevRelに興味を持たれたりしているのではないでしょうか。ぜひ、周りに企業とエンジニアが共創するための手法「DevRel(Developer Relations)」を知らない方がいらっしゃったら伝えてください。そしてDevRelについて日本企業の事例も交えた先人の知恵と、未来へのヒントが詰まった「DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C」書籍が存在していることをご紹介いただけるとありがたいです。

Have a happy DevRel Life♪

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Software Design誌の連載記事【Visual Studio Code快適生活】1周年を迎えました!

皆さん、こんにちは。職業「戸倉彩」です。

いつもSoftware Design(技術評論社)をご愛顧いただいている読者の皆さま、本当にありがとうございます。 おかげ様を持ちまして、9月18日発売のSoftware Design 2019年10月号で毎月連載させていただいているVisual Studio Code快適生活」記事が12本目となりました!

ワタシは、外資系IT企業で会社員をしながら、プライベートでテクニカルライターをしています。当然「業務に影響しない範囲」で活動する必要があるため、休日や深夜のスキマ時間にパソコンに向かっています。今回は、「Visual Studio Code快適生活」の記事にかける想いについて少しお話します。

Visual Studio Code」とは、マイクロソフトが提供しているmacOSWindowsLinux対応の軽量なコードエディタです。
Visual Studio Code公式サイト https://code.visualstudio.com/

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Visual Studio Code - Code Editing. Redefined

Software Designという雑誌に出会ったのは、自分がIT業界を目指そうとしていた学生の頃です。当日は、まだインターネット上で公開されている技術情報は限られており、また多くの技術情報は日本語化されていませんでした。そんな時、日本語で丁寧に解説されている特集記事や様々な記事に技術的に助けてもらっただけでなく、当時の著者の方々のテクノロジーとの向き合い方や物事の捉え方など非常に感化されました。いつしか年月が過ぎ、IT業界でエンジニア職をしながら、あの頃の自分と同じように英語の壁や技術に困っている人を助けたい、と思うようになりました。

そんな中、何かに導かれるかのように「Visual Studio Code快適生活」の企画の話が持ち上がり、テクニカルライターとして未熟だったワタシは、まずは数ヶ月〜半年の期間を目処に、前職のマイクロソフトを退職してから初めて自社製品の紹介としてではなく、第三者の視点で「今のVisual Studio Code」をより多くの人に届けるために、月刊誌というプラットフォームで記事を書かせていただくことにしました。

正直、毎月毎月バージョンアップが行われ、しかも公式マニュアルもREADMEもすべて英語で展開されている「Visual Studio Code」を題材にした連載記事を毎月執筆することは容易ではありません。無論、書籍化の難易度が高いと言われている「Visual Studio Code」。読者アンケートや数多くの応援メッセージが励みとなり、また賛同してくださった仲間達と一緒に、連載も続けながら、2019年4月号では特集記事としてVisual Studio Codeの魅力や使いこなす方法が詰まった最新情報を世に送り出すことができました。奇跡的な1冊であり、ワタシの中では人生で最高の「Software Design」誌となりました。本当に嬉しくて、嬉しくて保存用、観賞用、布教用、補完用、記念用に5冊購入しました!

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Software Design 2019年4月号 - 特集記事「Visual Studio Code

その後も、気づいたら普段コードを書いている開発者の方だけでなく、非エンジニアの方々にもエディタに触れてもらうことで自分の手から生まれる「新しい体験と感動」そしてオープンソースの世界」を感じてもらいたくて、Visual Studio Code愛と魂を込めて書くことが毎月の習慣のようになり、現在に至ります。

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Visual Studio Codeの1年振り返りや、最新バージョンのVisual Studio Codeについて知りたい方は、是非これを機に「Software Design 2019年10月号」の「Visual Studio Code快適生活」をご購読いただけると幸いです。

これからも「自称Visual Studio Codeエバンジェリストではありますが、「エディタを使って書く事からデジタルなモノづくりやコミュニケーションが始まる」ことの大切さを忘れずに、日本語での最新情報の発信、オープンソースへの貢献に尽力し、「エンジニアや開発者の方々と共に可能性を切り開いていきたい」と考えています。

今後ともVisual Studio Code快適生活」をどうぞ宜しくお願いします。

p.s. 技術評論社の皆さま、この場をもちまして改めて多大なご支援をいただき感謝申し上げます。

Twitterよりもブログでエンジニアの戦闘力を上げる

皆さん、こんにちは。戸倉彩です。

新年度を迎えて新たな気持ちでスタートを切った方もたくさんおられると思います。

ワタシもよりパワフルに活動すべく、改めるべき自分の中のルールと向き合うことにしました。 それは、ワタシ自身が活用している SNS「ブログ」 についてです。

SNSTwitterとブログの違い

本題に入る前に、少し言葉の定義を整理しておきたいと思います。

SNS とは

Social Networking Service の略で、ユーザーにとって自分と自分の世界について言葉やメディアを共有することで関係を深め、新しい繋がりを作るためのオンラインサービスです。
[参考] ソーシャル・ネットワーキング・サービス - Wikipedia

Twitterとは

Twitter社が運用管理しているSNSの一つで、Twitterアカウントを用いてTwitterのアプリケーションやWebサイトから最大140文字(日本語)で投稿し共有できるサービスです。企業から各業界のインフルエンサー、個人が利用しています。利用者のうち何割くらいがエンジニアかさだかではありませんが、日々、最新の技術情報ネタが飛び交い、開発者向けイベントやコミュニティなどが開催されると技術的な内容に関する投稿は日夜を問わず盛り上がりを見せ、IT用語やイベント名がハッシュタグがトレンド入りするケースも増えています。
* Twitterの月間アクティブユーザーは4,500万人規模だそうです。2019年2月にTwitter社は、デイリーアクティブユーザーに関するデータも含まれている「Q4 and Fiscal Year 2018 Letter to Shareholders | February 7, 2019 @TwitterIR」 を公開しました。

ブログとは

定期的に更新される日記やレポート記事が公開されているWebサイトのことです。 日本では、企業サイトの配下にその企業に所属しているエンジニア職の社員らがエンジニアブログやサポートブログを書いて公開しているケースも増えてきましたが、本業に関わらず技術的なブログを個人ブログまたはナレッジ共有サイトにブログ投稿する人も増えてきました。
[参考] ブログ - Wikipedia

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なぜエンジニアにとってブログを書くことが重要なのか

ブログの語源は、Webサイト上に Log(記録) として残すための WebLog (読み方: ウェブログ) が略された単語になります。すなわち、「ブログ」 は個人の価値を高めて情報発信する場としてだけでなく、記録を兼ねているのです。実際にブログを書くということは、それなりの時間の確保と文章力、集中力が必要となりますが、自分と向き合ってアウトプットしたものが、Web上の記録として残るという意味でもあります。

エンジニアがブログを書くメリット

ここでは、3つの視点でエンジニアがブログを書いて公開することで得られる代表的なメリットについて考えてみました。

エンジニア成長編

✅ 自分の考えや意見をストーリーとして伝えられる能力を養う
SNSから離れ自分と向き合うために集中する時間を作る
✅ 技術的なブログで学んだことを記録に残す
✅ ブログを書くために調べものや他の人と会話することもスキルアップの一部になる
✅ 自分の資産になる

対外編

✅ 自分が何者なのかを表現でき、セルフブランディングに繋がる
✅ デジタルコミュニケーションを楽しめる
✅ ネット上の誰かの役に立つ情報を共有できる
✅ ブログをきっかけに執筆や登壇などのユニークな機会を得られる
✅ プロフィールやレジュメなどでURLで自分のアウトプットを示しやすい

技術情報の共有編

✅ 技術スキルを向上するきっかけになる
✅ 個人の視点で会社で触っている技術について綴ることができるので一般ユーザーに伝わりやすい
✅ 会社で触っていない技術をテーマに挑戦することで、後々、仕事でも役立つことがある
✅ 自分が触れている技術を他の人やコミュニティに展開しやすくなる
✅ 技術的なナレッジや体験についてアウトプットを公開することはIT業界全体や社会貢献に繋がる

ワタシが考えるTwitterのメリットとデメリット

ワタシは気づいたことを手軽にスマホから投稿できるTwitterを好き好んで利用し、活用しているので、これからも続けたいと考えています。しかしながら、改めてTwitterへ費やしている労力や時間とのバランスは見直したいと考えています。大きな理由は、Twitterには致命的なデメリットがいくつか潜んでいるからです。

Twitterを活用する時のメリット

✅ 文字数の制限の中で伝えたいことをシンプルに表現できる
ハッシュタグを活用しタイムリーに同じトピックで情報共有ができる
✅ 情報拡散力に優れている
Twitterのフォロワーさんと一体感のあるコミュニケーションを楽しめる

Twitterを活用する時のデメリット

☑️ 文字数に制限があるため限られた表現に留められてしまう
☑️ ツイートした内容は流れしまう傾向がある
☑️ フォロワーの数でいろいろと判断されてしまうケースがある (良い意味でも悪い意味でも)
☑️ Twitterを利用していない、または苦手な人たちに届けたい情報を届けることが困難
☑️ 投稿内容や表現によってトラブルに発展するリスクがブログよりも高い

インターネットの恩恵を受け、ワタシ達はSNSを通じて個人が世界中に情報発信できる時代になりました。Twitterは依存性が強い部分もあるのでコントロールしつつ、「エンジニアとしてスキル、セルフブランディング、そして自分の将来性」を考えて、ブログを公開し、ブログを書き続けてみることで得られる効果は絶大であることを再認識すると共に、自戒を込めて皆さんにもお勧めしたいと思います。

★お知らせ★

DevRel Meetup in Tokyo コミュニティ仲間と一緒に、同人誌 「ブログを書こう: ブログを書く技術」 を出しました。深夜〜明け方に、Markdown 形式で Visual Studio Code を使って「Visual Studio Codeでブログを書こう」パートを書き上げました。はてなブログQiita などに記事を Markdown 形式で書こうとしている方から、すでに書かれている方にも読んでいただけると嬉しいです。Kindle版はこちらからお求めいただくことができます。 f:id:ayatokura:20190422033342p:plain

Have a happy DevRel Life♪

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コーディングが含まれるハンズオンを成功させるためのTips

皆さん、こんにちは。戸倉彩です。

今回は、「コーディングが含まれるハンズオン」をコミュニティなどで開催する場合の Tips をまとめみました。これから企画開催される皆さんのお役に立てればと思います。

事前準備

1. ゴール設定

「ハンズオンを通じて開発を体験してもらう」 ということを 目的 にした場合、主催者側では具体的な ゴール を設定しておくと、ハンズオンの内容を決める時にも役立つと思います。
✅ 対象者 (コーディング経験/エディタ利用経験/対象プロダクトやサービス利用経験の有無)
✅ どこまで何を体験してもらうか (デバッグ実行まで/パッケージ化まで/公開まで)

2. 当日の流れ

タイムテーブル(時間表) を作成し、何にどのくらいの時間を利用するのか、あらかじめ時間配分を決めておきましょう。イベント告知の際に公開しておくと、途中から参加で良かったら参加する!という人もいるかもしれません。
✅ ハンズオンするテクノロジー 概要
✅ ハンズオンする内容について紹介 (できればこのタイミングでデモも交えて説明すると初めて参加する人にとっては分かりやすいと思います)
✅ ハンズオンの流れや諸注意を解説
✅ ハンズオン開始
✅ クロージング

3. コンテンツ決め

ハンズオンの内容について、公式チュートリアルを活用するか、非公式ですでに公開されているものを展開するか、オリジナルで用意するかを考えましょう。

4. ハンズオン資料の作成と公開

ステップバイステップの手順が記載されているハンズオン資料が用意されているのが望ましいですが、準備するのが困難な場合には、Qiitaや参考になるサイトで公開されている記事へのリンク集を用意するなど、工夫しながら乗り切りましょう。ハンズオン資料は事前または当日に公開できるかたちにしておくと、参加者が個人個人のペースで手を動かすことができるので有用です。資料を公開する手段についていくつか紹介しておきます。
✅ Qiitaで公開する。
✅ サンプルコードやReadmeと一緒にGitHubで公開する。
PowerPointやWordで作成した場合にはpdfファイル形式にしてSpeakerDeckやSlideShareなどで公開する。

5. 事前準備の案内

ハンズオンを 「マシン持ち込み」 で行う場合、各自が持ち寄る環境が大幅に異なる可能があるため、ハンズオンに最低必要限に実行環境を事前に案内し、準備しておいてもらうことをお勧めします。初心者向けには、事前に準備内容を案内した上で、一人で準備が困難な場合にはハンズオン開始前などに環境を一緒に準備する時間を設ける等、フォローすることができると初めての参加者にとっては心強いです。環境(Windows/macOS)ごとにシステム要件が異なる場合や、バージョン指定があるかも事前に確認し、あらかじめ参加者と情報共有しておきましょう。
✅ コードエディタ *個人的には、Windows/macOS/Linux対応の無料で軽量なマイクロソフト「Visual Studio Code」 をお勧めします。
プログラミング言語
フレームワークやツールなど

ハンズオン当日

6. インターネット環境

会場で Wi-Fi によるインターネットアクセスが提供できる場合には、参加者に分かりやすいようにアクセスポイントを案内しましょう。
✅ 見えるところにアクセスポイントに関する案内を貼っておく。
✅ ハンズオンが始まる前にスライドに表示しておく。
✅ 同時アクセスができる数に制限がある場合には運用でカバーする。

7. テクニカルメンター

ハンズオンの際には、参加人数や参加する人のITリテラシーによっても異なりますが、講師1人で進めるよりはメンターさんが存在しているのが望ましいです。
✅ 参加者にとっては、講師が他の参加者の質問を受けている時でも他にメンターさんがいると質問することができ、ハンズオンを効率よく進められます。
✅ 運営側にとっても、同時に複数の質問が寄せられた時に、対応を分散できるだけでなく、得意不得意分野を講師とメンターさんとでうまく補完しあって参加者をサポートすることができます。
✅ Slack や Facebook グループなどを用意し、質問をそこに投稿してもらうことで参加者同士で助け合ったり、遠隔地からもメンターさんの協力を得るなど、他にも工夫してみると良いかもしれません。   

8. トラブルシューティング

ハンズオンにトラブルはつきものです。
✅ まずは冷静になって、手順を一つ一つ丁寧に確認してみましょう。
✅ 最新版のエディタやプログラミング言語、ツールで試してみましょう。
✅ 対象のプロダクトやサービスに関するよくある質問を確認してみましょう。
✅ 既知の問題や他のユーザーから報告されている問題について GitHubで公開されている場合には、合わせて最新情報をチェックしてみましょう。

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他にも追加で気づいた点がありましたら、随時追記していきたいと思います。「コーディング」をハンズオン形式で一緒に楽しみましょう。

Visual Studio Codeに特化したハンズオン開催に実施される場合には、Qiitaで公開したこちらの記事を参考にしてみてください。

Have a nice Geek Life♪

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エバンジェリストは職業ではなく生き様です

皆さん、こんにちは。戸倉彩です。

★本投稿は、 DevRel Advent Calendar 2018 - Day 23 (12/23) 向けの記事です。

2018年1月1日。 ワタシは職業「戸倉彩」をはじめました。

約6年間務めていた "マイクロソフトのテクニカルエバンジェリスト" という肩書きを捨て、自分と家族と向き合い、新しい道を切り拓くための第一歩でした。

そのままをタイトルにした 職業「戸倉彩」をはじめました ブログを投稿した後、国内からは「もったいない」「なぜ辞めたのか」、海外からは「何かやるときは声をかけて欲しい」「Good Luck!」というメッセージが寄せられました。この差はどうして起こったのでしょう。

この時、日本人のもったいない精神は、時としてブロッキングイッシューになることを感じました。そして、全ての人が、自分の意思で何かを捨てて新しい挑戦できる、というわけでは無いことを悟りました。

さて、本題です。

IT業界において、エバンジェリストは企業に所属していなければ意味が無いのでしょうか?

顕著に数字として変化が現れたのは、個人のTwitterアカウントでした。 1月からどんどんフォロワーが減り続け、数ヶ月で約300フォロワーが減りました。

一方で、フリーになったことで中立的な立場で情報が発信できるという恩恵を受け、さまざまな企業やコミュニティから幅広く登壇の機会をいただき、これまでに出会うことが難しかった領域の方々とも交流する機会も増えました。 f:id:ayatokura:20181223211425p:plain ▲札幌HoloLensミートアップvol.1の司会 兼 LT登壇させていただきました

その後、今年はワタシにとって、いろいろな大きな変化がありました。 とくに次の3つの出来事は2018年で忘れられないイベントになりました。

2018年5月1日。

「IT × 開発者支援」を通じてエンジニアをヒーローにし、世の中を変えられる可能性を秘めた新たなポジションにチャレンジすべく、再び外資系IT企業のグローバルチームの一員になりましたが、プライベートでは引き続き、職業「戸倉彩」としてのエバンジェリスト活動を継続することにしました。

ここで示すエバンジェリストは、人に技術や開発手法を分かりやすく伝え、拡める役割を担う人のことです。

2018年7月15日。

DevRelCon Tokyo 2018が開催され、英語セッション「10 Things You Need to Know About Developer Relations for Women in Japan」を通じて日本で女性開発者向けのマーケティングを実施する際に考慮すべき点とその理由について紹介しました。業務という考え方から離れ、思いやりを持って自発的に考え、自主的にCfPに応募する行動を取っていなかったら、このセッションは誕生していなかったでしょう。

技術だけでなく、開発者を取り巻く環境の実態を理解し、改善するための働きかけを行うこともエバンジェリストとしてできることの一つだと実感しました。

2018年9月18日。

学生時代から憧れていた月刊雑誌『Software Design』に「Visual Studio Code快適生活」の連載をスタートさせていただくことになりました。ワタシの中では、人生初の連載記事を通じたエバンジェリスト活動だったので、初めは要領がいまいち掴むことができず作業時間や原稿の分量の見積もりに苦労しました。

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Software Design 10月号より新連載「Visual Studio Code快適生活」スタート

そして、本日、2018年12月23日。

これまでの人生で、職業としてだけでなく、パラレルキャリアとしてのエバンジェリスト活動を実践してみて見えてきた 5大キーワード をシェアしたいと思います。

1. タイムマネージメント

エバンジェリストにとってタイムマネージメントはどれくらい重要か?

時間管理のテクニックは、エバンジェリスト活動の質や活動できる件数にもっとも大きく関係します。エバンジェリストを始めた人の多くが感じるのが、とにかく時間が無いということ。常に技術が進歩する中で、「やること」と「やらないこと」を決めて優先順位や効率性を考慮する必要があります。時間管理に失敗すると、「準備が十分にできてない」「ダブルブッキング」などの問題が起きることになります。睡眠時間と、家族がある場合は家庭とのバランスも大変重要になってきます。したがって、エバンジェリストにとってタイムマネージメントは必須スキルです。

2. 知名度

エバンジェリスト知名度が高くなければいけないのか?

知名度はもちろん大切ですが、それよりも、まずは技術力を含めた実力が必要となります。ネット記事やSNSを見ていると、知名度の高いエバンジェリストが目立つ傾向がありますが、実際にエバンジェリストに求められているのは知名度よりも圧倒的に中身です。 無名のように見えて、実は特定の技術領域では有名だったり慕われているインフルエンサーの方々が存在します。例えば、万人受けする技術ネタでなくなるほど、SNSでの情報発信で期待できるエバンジェリズムの効果は低くなりますし、専門的なイベントや学会での活動を重視したほうが、本来の目的である技術を拡めるというゴールを達成できるかもしれません。 ワタシ自身は、効果的なケースだと判断した場合は、あえて本名を明かさずにエバンジェリスト活動しています。この辺りについては賛否両論あると思いますが、ワタシは自分の知名度を上げるよりも、ひたむきに活動して真摯に開発者と向き合うことに時間をかけることで、ワタシが啓蒙したいテクノロジーや開発手法が、開発者同士の口コミで広がったりする世界感を重視したいと考えています。 知名度が高いことは集客力などに役立ち、話題性にも繋がりますが、それだけでは開発者とエンゲージできないのが実態なのです。 そして、知名度が上がると、もれなく有名税が発生するため、ストレスにならないような対策や心のケアも忘れてはなりません。

3. 技術力

エバンジェリストは常にスキルアップとの戦いなのか?

少なくとも自分が拡めたいと考えている技術に関連するプログラミング言語や開発環境、最近だとクラウド環境などを扱うための技術力は必要になります。対象としている技術の基礎理解が不足しているエバンジェリストの話は見透かされてしまうものです。そうならないために、企業に所属しているエバンジェリストは業務時間にトレーニング受講や技術資格取得を義務化したりして、エバンジェリスト育成を実施している場合もありますが、一方で、個人でエバンジェリストをする場合は自分でスキルアップのための努力を怠らないようにしなくてはなりません。 エバンジェリストという職業が目立ち始めた当初は専門外の人たちに分かりやすく解説することをミッションとしていたケースが多かったのですが、現在はフルスタックエンジニアと呼ばれているようなマルチなスキルを持つエンジニアも増え、場合によっては自分よりも専門の人に最新情報やその技術を採用した場合のメリットなどを伝えるケースも出てきています。そのような場合は、自分の技術力だけで対応することが厳しいこともあるかもしれません。そんな時は、英語力やコミュニケーション能力も身につけておけば、海外のエンジニアと一緒に活動することで充実した活動ができるかもしれません。技術力が高いだけが、優秀なエバンジェリストとは限りません。

4. 貢献度

エバンジェリスト活動を通じて、何に貢献したいのか?

初めにエバンジェリストとして何を成し遂げたいのかを明確にしておいたほうが良いでしょう。何の技術を、誰に、どのくいらい、どの様に拡めたいのか。企業の場合は、KPI的なものが用意されているケースが多いと思いますが、原則的に、数値化できるものを定めておかないとあまり意味がありません。明確に貢献度合いを可視化することができると、他の人と共有したり、活動結果に対して良かった場合も悪かった場合も原因究明や次のステップに進むための道筋を立てやすくなります。 貢献度合いによって評価制度がある場合には、インセンティブ向上に繋がる場合もあると思いますが、それよりも自分のモチベーションに繋がることは多くのエバンジェリストをしている人に当てはまるのではないでしょうか。

5. センス

エバンジェリストは才能?センス?

エバンジェリストをしながら、エバンジェリストはとにかくセンスが問われる、ことを学びました。同じテクノロジーを拡めるにしても、人によって、第一印象から始まり、話し方、魅せ方、そしてビジネスセンスなど、活動結果がまったく異なるのです。世の中でセンスがあるなぁと思われているエバンジェリストの多くは、エバンジェリストとしての才能が初めからあったというよりも、努力する才能を身につけ、努力によって磨かれたセンスが輝いているように見受けられます。一度にこれらのセンスを磨くことは難しいので、コツコツと自分の弱みを分析しつつ磨いていくのが良さそうです。 [対人]
・言葉使い
・話し方
・立ち方
・座り方
・笑い方
[プレゼンテーション]
・スライドデザイン
・スライド構成
・プレゼンテーション内容
・デモ内容
[技術]
・基礎力
・応用力
・実践力
・テクノロジー選定
・スピード感
[ビジネス]
マーケティングセンス
・営業センス
・ビジネスセンス

エバンジェリストは職業である必要はなく、自称エバンジェリストと名乗っても名乗らなくても、技術にパッションがある人が人生の限られた時間の中で誰かのために、もしくは次世代のために必要と思った情報を届けるための活動ができる存在だと再認識できたことが、ワタシにとって今年の一番の成果でした。 f:id:ayatokura:20181223213724p:plain テクニカルエバンジェリストに求められる5つの基本スキル

職業「戸倉彩」はワタシの人生であり、生涯にわたって研鑽(けんさん)されていくものだと考えています。 そして、エバンジェリストは職業ではなく、その人の生き様であることを改めてここに記しておきたいと思います。

これまでワタシを育て、応援してくださったすべての方々に感謝を込めて。

Have a happy DevRel Life♪

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女性ITエンジニアが探しているのはロールモデルではなくITソーシャルワーカーかもしれない

皆さん、こんにちは。戸倉彩です。

久しぶりのエントリーです。 あれから約半年間。 自分の中ではいろいろな変化がありました。 詳細については、またいつかお話するとして、今回は「女性ITエンジニアのロールモデルについて書いていきたいと思います。

外国人から見た日本の女性ITエンジニアの世界

つい先日、シリコンバレー出身のエンジニアさんと出会い、情報交換をしていた際に言い放った一言に、とても複雑な思いがよぎりました。

「日本には女性エンジニアは少ないと聞いていたけど、東京に来て自分の目で確かめたとき、想像以上に少なかったわ。」
(I heard that there are few female engineers in Japan, but when I came to Tokyo and saw with my own eyes it was less than I imagined.)
「今はそうかもしれませんね。」とその時は答える以外に出来ませんでした。 そう、今は

今年、パソナテックが行ったエンジニアの職場における女性の比率調査によると、女性エンジニアの割合は職場全体の「1割」程度とする回答が33%となりました。もちろん職場環境によって肌感覚的にちょっと違うかなと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、一つの調査結果として参考にしてみてください。

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参考: あなたに合う働き方は?がんばる女性エンジニアのキャリアプラン | パソナテック

女性ITエンジニアのロールモデルの共通点

近年、国内の女性エンジニアはひと昔よりも増加傾向にありますが、まだまだ男性の割合が多いのが現状ということがお分かりいただけたかと思います。そこで、現場では理想のキャリアを描くために、行動や考え方の模範となるようなロールモデルの女性エンジニアを身近で探そうとしても見つからない、自分にぴったり合うような方が見つからない、という状況が発生しています。

今週末、まずは改めてエンジニア歴が10年以上の女性エンジニアのロールモデルとして知られている方々についてあれこれ調べてみました。そこで一つの共通点があることに気づきました。何かしらの女性特有のイベントを乗り越えて、現役エンジニアの職に就いているということを。また、具体的にどのタイミングで、どの様な会社の制度やサポートに助けられて継続または復帰を成し遂げたか、というストーリーをインタビュー記事やご自身の言葉でブログやSNSで情報公開されているということ。

主にここでは30代以上の自分も含めた女性エンジニアの方々がこれまでに遭遇または、見聞きしたことがあるであろう挫折ポイントをまとめてみました。それぞれの挫折ポイントに対する定義や対策については他のサイト、場合によっては所属されている企業内で解説されている事もあるので、ここではあえて解説せず、全体像を把握していただくための参考にしていただければと思います。

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女性ITエンジニアが本当に探している人とは

数年前、ワタシも一人でも多くの同性の方々に「ITエンジニア」という職種に関心を持っていただき、ITエンジニアというキャリアを選択していただくためのきっかけ作りを応援していきたい!と考えたことをきっかけに、子育て中であることをカミングアウトし、IT業界で15年以上のキャリアを積んできたことをオープンにしました。

その後、学生さんから現役の方、子育て中で休職している女性エンジニアの方々から様々なお悩み相談が寄せらるようになりました。最近の傾向としては「ロールモデルが見つからない」という内容に加えて「ITエンジニアを断念するか迷ってる」という内容も増えていることが明らかになってきました。残念ながら、ワタシはカウンセラーではないので、自分の体験談に基づいた意見やアドバイスしかお伝えできません。

もしここで、「ロールモデルを探し求める目的」が、対象となる人材を分析した上で学習し模範してみることよりも、自分が直面している環境の問題とロールモデルを重ね合わせて、それに立ち向かうためのヒントや勇気を得たいということにシフトしつつあるのであれば、キャリアチェンジをする可能性のあるロールモデルの方を無理に追い求めることに集中し過ぎるのはあまり得策ではない気がしています。

ITエンジニアの仕事を継続する上で困ったことが発生した時や、不安を抱えた時に、直接仕事に関わる人とは異なる立場から問題解決のためのサポートをしてくださる方の存在があったらきっと心強いことと思います。IT業界では、テクニカルメンターと呼ばれている技術を習得するための育成をサポートしてくださる方々の存在も非常に意味のある役割を担っていると思いますが、実態としては日々変化し続ける女性エンジニアを取り巻く環境やライフイベントに寄り添い、起点となってくる制度や仕組みを効果的に適応するためのアドバイスやサポートできる人の存在が大きくなってきているかもしれません。

私見として、一般的に「ソーシャルワーカー」と呼ばれている方々は医療や福祉の業界で活躍されていますが、IT業界においても「女性エンジニアが少ない」という社会問題を解決する上で、専門的に手助けする役割を担う「ITソーシャルワーカー」が強く求められてきているのではないでしょうか。

Have A Happy Life♪ ※Twitterで最新情報発信中 @ayatokura

時間と空間を超えた現実 ~国宝「風神雷神図屏風」× Mixed Reality の世界~

皆さん、こんにちは。戸倉彩です。

昨年7月、博報堂博報堂プロダクツが、京都最古の禅寺として知られている 建仁寺 とコラボして Microsoft HoloLens (以下、HoloLens)を用いたアノ超有名な 国宝「風神雷神図屏風」 を題材に共同研究を開始すると発表されてから約7ヵ月...ずっと、この日を楽しみに待っていました!

という訳で、今回は急遽 「MR ミュージアム in 京都@建仁寺」体験会初日 に参加してきましたので、感想などを書き留めておきたいと思います。


[風神雷神図屏風×ホロレンズ]MRコンセプト解説ムービー

【関連記事】

そうだ 京都、行こう

「MR ミュージアム in 京都」と名付けられたこちらのプロジェクト。一般公開を始める前日!?のタイミングで、建仁寺京都国立博物館にて期間限定で開催することが発表されました。

プレス向け体験会に関する記事も続々と公開され始め、その内容に期待と注目が寄せられるのをネット越しに感じました。

やはり、これは京都へ行って何が起きているのか、ワタシも自分の目で確かめたい!何よりも、前職で出会ったパートナーの方々、プロジェクトに携わった元同僚、それを見守る関係者が成し遂げた喜びと成果を現地で見届けたい!という想いで、導かれるように京都の地を訪れることにしました。
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初めての建仁寺

これまで京都には何度も足を運んでいますが、建仁寺へ来たは初めてでした。 入口の門をくぐり境内に進むとすぐに建物が見えてきました。
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拝観料500円を支払い、パンフレットを受け取って入場します。
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目の前に「MRミュージアム in 京都 ~MR体験コーナー~」が設けられていました。
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体験する時間まで少し時間が出来たので、建仁寺の雰囲気や建物内を楽しむことにしました。

受付からすぐの部屋で...あれ?体験コーナーに置かれていると思っていた「風神雷神図屏風」がガラス超しのケースに展示されているではありませんか。状況を理解できないまま、美しい石庭へ進み、気づいたらすでに京都ならではの歴史ある非現実的な空間に身を委ねていました。
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建仁寺は、有難いことに撮影OKなので、訪れる人々はあちらこちらで撮影を楽しんでいる様子でした。
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「MR ミュージアム in 京都」鑑賞を初体験

さて、ここからはワタシが実際に体験した内容に移りましょう。
★天候や混雑状況によって受付から体験までの流れが、こちらの内容と異なる場合があります。公式サイトをご参照の上、早めに現地で受付をしてください。

受付から体験までの流れ

I. レッツ受付!

  • 一般公開は当日現地での受付となります。
    受付をしないと体験することはできません。場所や時間的な制約もあり、体験できる人数はかなり限定されますので朝早めの時間帯に受付を済ませておくのが良さそうです。※鑑賞体験は無料ですが、建仁寺の拝観料は必要となります。
  • 公式サイトには「数名づつ体験」と記載されていましたが、2名1組で体験しました。
    一人で参加する場合は、別の方と一緒に体験することになると思います。もし抵抗感がある方は知り合いの方と一緒に参加するようにしてください。
  • 13歳未満の方 は、残念ながら体験することができません。

II. 時間になったらワクワク体験タイム!

  1. 待合室にて椅子に座ってスクリーン動画を見て順番を待ちます。※混雑状況によって多少、時間が前後することがあります。
  2. スタッフの方から緒注意の説明があります。 このタイミングで不安な点や、疑問点があればスタッフの方に声をかけましょう。
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  3. 順番が来たら奥の体験できる部屋「本坊三十畳の間」に入ります。
  4. HoloLensの取り扱い方、装着方法、エアタップの操作方法を学びます。 f:id:ayatokura:20180223175710j:plain:w350
  5. 準備が整ったら、手渡されたHoloLensを頭に装着します。 ※初めての方でもスタッフの方がサポートしてくだるので安心です。
  6. 約10分のMRコンテンツを楽しみます。
  7. 終わったらHoloLensを着脱して、返却して終了となります。

体験できる内容

本プロジェクトには見どころとも言える4つの特徴があります。

  • Point 1: Storytelling
    ストーリーテリング手法」が持つ可能性で教育や文化の"体験を深める"
  • Point 2: Reference
    時間/場所を超えて参照される「3つの風神雷神図屏風」が美術館、博物館における"鑑賞体験の進化"や"研究方法の革新"を導く
  • Point 3: Imagination
    絵が伝える概念、作品に込められた願いや世界観を体験することで、 "想像力を掻き立てる""もっと知りたくなる" きっかけをつくる
  • Point 4: Interaction
    自分や他の参加者とホログラムを相互作用させ自らアクションを起こし、対話や行動を生みだっすことで "発見や感動" "知識の獲得" を促進する

【関連記事】HoloLensで国宝「風神雷神図屏風」を鑑賞できる“MRミュージアム”が公開

プロモーション用の動画 が公開されていますので、ご覧ください。
※ネタバレが嫌な方はスルーしてください。


[風神雷神図屏風×ホロレンズ]ホロレンズ体験デモ映像

戸倉彩 meets 国宝「風神雷神図屏風」× HoloLens!!!

風神雷神図屏風

実は...ワタシも初めて知りました。建仁寺に展示されている「風神雷神図屏風」が複製であるということを...。原画は京都国立博物館で管理されているとのことです。ただ、複製と言ってもキヤノン社が最先端技術を用いて、原寸大に印刷、金箔加工などを施した高精細複製品とのことなので、再現性は非常に高いかと言えるかと思います。
また、今回の「MR ミュージアム in 京都」では、先ほどの別の部屋で見かけたものとはまた別のものが使われていました。 HoloLens越しに本プロジェクトを通じて見た初めての「風神雷神図屏風」は、ワタシにとって格別な迫力がありました。 f:id:ayatokura:20180223180225j:plain:w600

パフォーマンス

極めて完成度の高いMRコンテンツであり、現実かバーチャルかという境界線を忘れてしまうほどの快感が突き抜けました。いくつかのシーンを行きつ戻りつ、最初から最後まで安定感のあるなめらかな動作と、エアタップ反応にパタパタと生成されるコンテンツは、人間のストレス無くMR体験できるレベルに達していたと感じました。技術的実態は明らかにされていませんが、HoloLensの限られた性能や機能を駆使して実装されたこのUWPアプリケーションに、開発したエンジニアさんの努力とこだわりが伺えました。
★ホロレンジャーMemo★
裏側では、HoloLensの調整やコンテンツ制御のためにWindows PCで関係者が監視しながら「MR ミュージアム」を提供していました。
【関連記事】「風神雷神図屏風」とHoloLensで生まれる驚きの世界

3Dモデル - 僧侶

本コンテンツでは、国内で初めてマイクロソフト社のMR専用3Dスタジオ「Microsoft Mixed Reality Capture Studio」で撮影されたリアルな人間の3Dモデルが使われています。僧侶・浅野俊道氏をモデルにした等身大のサイズで、動きを正確にトラッキングして制作された3Dは、細部までしっかりと計算されていてシャープでキレイでした。プロモーション動画では浅野氏が亡霊のように表示されていますが、実際に体験してみて、そのリアルさに興奮気味になってしまいました。インパクト抜群です!

ご本人さまは「まさか私がこういう風な形で3Dキャプチャーで撮られるなんて思わなかった」と話していました。
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【関連動画】[風神雷神図屏風×ホロレンズ]メイキング

★ホロレンジャーMemo★

  • HoloHoloLensに合わせてポリゴン数は撮影時の半分くらいに落としたそうです。実際のポリゴン数は非公開とのこと。
  • フレームレートは30fps。
  • HoloLensの特性上、少し離れないと全身の姿を見ることはできませんでした。

【関連記事】世界初!? 動画3Dスキャンの僧侶が解説する博報堂・HoloLens「MRミュージアム in 京都」がスゴかった!

空間演出

クリエイティブな博報堂や関係者の力強さを見せつけられました。ストーリー展開に基づいてMRによる映像コミュニケーションに加えて、インタラクティブな演出により体験コミュニケーションを同時に体験することができました。2人1組でお互いに見ているものをシェアリングによって共有できることで、その場だけが持つ独特の空気感と一体感も味わえます。情熱を持って創り上げられた空間とエクスペリエンスそのものがコンテンツであり、時間という枠を超えて新たな不思議さと冒険心を与えてくれました。

★ホロレンジャーMemo★

  • 体験した部屋は、20畳くらいの四方でした。
  • 照明はコンテンツが最も美しく配信できるように、間接照明などで調整されていました。
  • HoloLensの空間認識を使うことで、床や天井などの平面を検出させることで自在にオブジェクトを配置することが出来るようになりますが、シーンによって意図的にメッシュを表示させることで空間演出デザインを試みていたり、さまざまなテクニックが盛り込まれていました。

戸倉彩のまとめ

2019年に開催される 国際博物館会議京都大会「ICOM KYOTO 2019」 に向けて、より完成度を高めるべく、今回の「MR ミュージアム in 京都」体験会の第一弾がスタートしました。日本の伝統を未来へ紡ぐ、そんな熱い想いが詰まっている 国宝「風神雷神図屏風」× Mixed Reality プロジェクトの体験を通じて、従来の現地スタッフや観光案内音声ガイドによる案内等の手法では実現できなかったMRならではの没入感と共に歴史を学び、作品に込められた想いが少しだけ分かった気がしました。

"複合現実(MR)から始まる現実"という新しい歴史が、今、一歩一歩刻まれています。

「MR ミュージアム in 京都」の鑑賞体験会が開催されている期間に時間の許す方は、ぜひ京都観光やリフレッシュも兼ねて体験してみて下さいネ。
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