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神様からの贈り物「DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C」書籍

皆さん、こんにちは。職業「戸倉彩」です。

2019年11月15日。 国内でDevRelを牽引してきた中津川篤司さん、小島英揮さんと共著で、翔泳社より 「DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C」 書籍を出版いたしました。

人生で商業誌を出版するのはこちらで2度目となります。

普段のテクニカルライター活動している月刊誌の連載技術記事とはまた異なり、試行錯誤の連続でした。 それはとても難産でした。

製本された見本誌が手元に届いた時には「生まれてきてありがとう」と心の中で叫びました。そして発売日当日。多くの方々に祝福されながら、読者様の手元へと書籍が届けられ始めました。

発売日から40日。

商業誌を一冊でも書いた経験のある方は、難産の末にやっと出版にこぎつけた書籍が、全国の書店の棚に1ヶ月以上も陳列されていることが奇跡だということを実感されたことがあるかもしれません。少しでも長く愛される書籍であって欲しいと願いながら。

今回は、「DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C」書籍の出版に纏わるエピソードについて綴っていきます。

DevRelでデベロッパーの可能性を広げたい気持ちが原動力

これまで、DevRel Meetup in Tokyo コミュニティの登壇や同人誌の頒布などを通じて 「DevRelの始め方やコツ」 が分からずに悩んでいる企業やエンジニアの方々を支援してきました。中には、これからDevRelを盛り上げようとしているエンジニア仲間と個別に会議室に集まって対話を重ねながら、DevRelについてどのように所属先の上層部に理解してもらい、限られたリソースでどのようにパフォーマンスを引き出すことができるのかを議論し、最適な方法について何時間もディスカッションを行なったこともありました。

しかし、これまでのご依頼や出会いは100%、直接お会いしたことのある方々でした。

これは非常にありがたいことであり、信頼や期待を裏切れないという心地よいプレッシャーを感じながら、自分自身を前進させる力になりました。

一方で、国内で 「DevRel」 についてもっと多くの方々に伝え、DevRelを定着させるためには、より最適なアプローチを見つけ出す必要がありました。そこで知人の紹介で知り合った今回のDevRel書籍の編集をご担当いただいた大内孝子さんに相談し、自分の出した答えが「商業誌」でした。

次に、DevRelの魅力を伝えるには、独りよがりでないノウハウや情報を集約することが必要だと考えました。受け取り手を魅了しつつ、実践的な情報の充実を担うためには...。そこで、定評のある方々とのコラボレーションが欠かせないと判断したのです。日本で初めてDevRelに特化したビジネス展開されている中津川さんと、AWSのユーザーコミュニティをゼロから育て上げた小島さんにご快諾いただき、執筆活動がスタートしました。

共著と言えども書籍を出版するということは、熱量的にも情報量的にもセミナー数十本分のエネルギーが必要でした。現在、電子書籍も増えてきている中で、「紙の書籍」 で出すことの緊張感もありました。

DevRel執筆と技術啓蒙の共通点

原稿を書き進めていく中で、普段、デベロッパーアドボケイトとして開発者の方々に技術を伝える活動を行う際に求められる多くのことと共通しているのを感じました。ここからは、その中でも最も大切なことを5つに絞ってお伝えします。

1. ターゲットとの合意形成

優れた情報を発信しても、受け取り手がその情報を必要としていなければ、当然ながら心に響きません。狙うターゲットを明確化し、その層に分かりやすく伝わるメッセージを心がけました。また、一人でも多くの読者の方が、自分ごと化できるように工夫しました。

2. 学習

書籍を書くということは、学習に大きく寄与します。 頭の整理をしながらも、読んでもらうための視点を忘れずに取り組みました。この書籍を執筆している期間は約20冊以上の読書をしました。過去に役立った書籍を読み返したり、気になった書籍を購入して新たな自分の世界が広がりました。

3. 情熱

目の前の時間を3年5年先に置いて妄想を繰り返しながら「今」伝えるべきことを魂を込めて書き綴りました。また、自分のDevRelに対する情熱や考えを全力で共有することで、読者の方々に元気になっていただくと同時に、内容を理解していただいた後に「よし、やってみよう!」という意気込みを感じてもらえるように自分なりの文章力で表現しました。

4. 経験談を交える

国内のIT業界でテクニカルエバンジェリストデベロッパーアドボケイトに従事した経験のある人は限られています。可能な限り、「あの時」どうだったのか、そして「今」どうなのか、という実体験を交えて解説するようにしました。

5. 感謝の気持ち

多くの方々にご支援ご協力いただきながら、皆さんに楽しみながらDevRelを学んでいただける内容を準備しました。1冊の書籍の販売にどれだけ多くの方が関わり、どれだけ多くの時間と情熱が注ぎ込まれているか計り知れません。感謝の気持ちでいっぱいです。

開かずの箱が空いた瞬間

前職でテクニカルエバンジェリストの看板を下ろし、最終出社日に会社に置いてあった荷物を約6年間の思い出と一緒にダンボール1箱に詰め込んで自宅に持ち帰りました。当時、会社の都合によりブロード(ターゲットリストではなく、全てのエンジニアのために活動すること)に対してDevRelを遂行できるポジションがクローズとなり、自分の役目を終えた満足感と喪失感を同時に感じていました。箱は閉じられたまま約1年の月日が経ちました。現職のデベロッパーアドボケイト活動の合間を縫って執筆したDevRel書籍の最終入稿が無事に終わり、それまで走り続けてきた心身が一気に解放されたかのように部屋の片付けを始めた、その時です。まるで開かずの扉が空いた瞬間のようでした。閉じられたままのダンボール箱を開けたたことで、当時のDevRelの相棒だった数々のキャラクターのノベルティや私物に再会し、やっとあの時に止まってしまった時間と気持ちから解き放たれた気持ちになりました。大きな変革には痛みを伴いますが、成長への道はその先にしかないのもまた事実であることを再確認しました。何よりも、DevRelができる場所を追い求め、極め続けていなければ、このタイミングで、この世に今回のDevRel書籍は生まれていなかったことでしょう。

最後に

「DevRel書籍で世の中にどんな影響を与えたいですか?」と聞かれたら、 「DevRelの道を進みやすくして、日本にイノベーションを起こすために企業とエンジニアが共創するためのエコシステムを推進していきたい。」と答えるでしょう。それは、とても意味があることだと考えています。 そのためには、皆さんのご支援が必要です。この記事を読まれているということは、恐らくDevRelに興味を持たれたりしているのではないでしょうか。ぜひ、周りに企業とエンジニアが共創するための手法「DevRel(Developer Relations)」を知らない方がいらっしゃったら伝えてください。そしてDevRelについて日本企業の事例も交えた先人の知恵と、未来へのヒントが詰まった「DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C」書籍が存在していることをご紹介いただけるとありがたいです。

Have a happy DevRel Life♪

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