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「IT × 開発者支援」を通じて"エンジニアの幸福度"を高めるために人生をハックしながら学んだことをお届けします

中堅エンジニア転職して今年1年間でやってみて良かったこと反省したこと

皆さん、こんにちは。職業「戸倉彩」です。

初めて1月〜12月が会計年度の会社でスタートから1年間を過ごし、何とかFY19(Fiscal Year/Financial Year)の仕事納めを終えました。ご支援ご指導いただいた皆さまに大変感謝いたします。

今回は、転職1年経ち、こうすればもっと自分の枠を超えて仕事ができたかもしれないという自戒の気持ちを忘れないように、また中堅どころのエンジニアの方々の転職後のヒントになる部分もあるかもしれないので記事を書くことにしました。

新しい環境で学び続ける姿勢

転職後、この1年を通じて主に「企業や組織の文化」、「同僚やパートナー企業様、お客様、コミュニティの方々との信頼関係の構築」、「自社製品やサービス関係する新しいテクノロジー」、「デベロッパーアドボケイト(エンジニア職)」そして「ダイバーシティ&インクルージョン」の5つについて学び続けることを実践してきました。簡単にその内容を紹介していきます。

1. 企業や組織の文化について

正直、入社してみないと分からないのが企業や組織の文化です。企業から社員に提供されている各種トレーニングを受講するのはもちろんのこと、正しい情報を得て正しい判断ができるようになるために、積極的な社内の情報収集や、個別に他部署の方々とランチやコーヒーブレイクにご一緒させていただきました。人事部やマネージャーからは得られにくい現場の実態や生の声を把握することができましたのはとても役に立ったと思います。入社して間も無い時期だと、同じチーム以外の人に自分からコンタクトして直接会って話すという行動は、かなり勇気がいるかもしれません。Facebookなどから誰かと繋がっている人であることが事前に分かれば「共通の友達」という共通点を持っていることからお誘いしやすい傾向はあるかと思いますが、「同じ会社に所属している」という共通点は最強だと考えているのでそこはあまり躊躇せずに行動してみました。と言いながらも、役職が上の方や心配な場合には、マネージャーや勤務年数が長くて繋がりを持たれている同僚に頼んで紹介をお願いしました。初めて自分からコンタクトする場合は、社内と言えどもマナー重視で「自己紹介」と合わせて「会いたい理由」「目的」「お相手のご都合の確認」等を敬語で書いたメールを送り、打診させていただきました。基本的にお断りされたことは一度もありませんでした。逆にタイミングが合わずまだお会いできてない方々がいらっしゃるので、来年スケジュールを仕切り直すところです。 また、SNSやコミュニティ活動などで「ワタシの知らないシリーズ」として、社外の方々にもぜひ知って欲しいと感じた素敵な企業の文化や出来事を投稿し続けてみたところ、思いの外、社内の方々から反響をいただき、追加情報を得ることができたり、社内外のネットワークが広がるきっかけに繋がりました。
[Point] 企業の歴史を学び、組織図と役員名を覚えることは大切です。年度が変わると組織が変更になる場合があるので、学び続ける必要があります。

2. 同僚やパートナー企業様、お客様との信頼関係の構築

前職を退職する際に意図的に「退職ブログ」を書かなかったこともあり、しばらくの間、社内では「出向ですか?」「契約いつまでですか?」と聞かれ、社外のコミュニティなどでも前職のイメージを引きずったまま会話が進んでしまうことがありました。この1年間を通じて、コミュニケーションを工夫したり、前職のロゴがついた持ち物の取り扱いなど小さな工夫を積み重ねてみました。IT業界16年目を向かえる転職回数を重ねている中堅どころのエンジニアともなると、ビジネスパーソンとしてあらゆる方々との信頼関係を構築するためには「企業への貢献」と「実績」だとしみじみ思いました。
[Point] 一般的に転職した職場でNGワードとされている「前職では〜」という言葉。前職の企業ブランド力が強いだけに、IT業界の代表的の話題や会話の中でもどうしても出てきてしまう傾向があるので、要注意だと実感しました。

3. 自社製品やサービス関係する新しいテクノロジー

社内用語や自社製品特有のIT用語、とくに3文字単語のオンパレードに慣れるために、単語帳を作りました。パブリッククラウドのエンジニアとして、OSSやテクノロジーのトレンドを理解しつつ、自分でも手を動かす機会を増やしました。新しいテクノロジーは勤務年数に関係なく、誰もが学習が必要になります。チームや他部署のエンジニアと一緒にもくもく会をしたり、ハッカソンなどで新しいテクノジーを参加者と一緒に使ってみることで学習を主体に楽しめる環境を作り、時には追い込みをかけながらスキルアップを現在進行形で継続しています。 また、企業買収により、コンテナ領域もメイン担当することになり、さらにモチベーションを向上しながら励んでいます。グローバルのIT企業の良いところは、国内で相談できるエンジニアが不明確だったり不在の場合に、時差はありますが世界中に散らばっているエンジニアと相談したい時にいつでも繋がれることです。昔から「バグの女王」と呼ばれた経験があるくらい、とにかくバグに遭遇する確率が高く、その度に一つ一つ丁寧に対応していくことで原因究明や回避策を学びながらサポートやローカライズチームとも連携をはかることができました。
[Point] テクノロジーとの出会いも運命のようなところがあるので、担当することになった製品やサービスは、ありのまま愛してあげることです。

4. デベロッパーアドボケイト(エンジニア職)

今年11月に出版した「DevRel (Developer Relations) エンジニアフレンドリーになるための3C - 翔泳社」書籍の中でもご紹介させていただいている通り、デベロッパーアドボケイト」という仕事はエンジニア職の中でも3つのC、Code: テクニカルなスキルはもちろんのこと、Contents: コンテンツの制作や情報発信、Community: テック系コミュニティに貢献していくためのスキルやセンスが求められる特殊な仕事です。ワタシにとっては、「開発者をヒーローにする」ことをミッションにし、テクニカルにDevRelを推進する組織に所属したいという強い意思を持ち続け、探し求めてたどり着いたポジションです。テクニカルエバンジェリスト時代に成し遂げることができなかった事を実行しよう、自分が出来ることを一つ一つ増やして行こう、自分たちの未来を描こう、という新たな気持ちで取り組みました。また、特定の専門分野で活動するエンジニアではなく、あらゆるエンジニア職の方々と会話ができるように様々なテクノロジーを網羅できるデベロッパーアドボケイトを目指し、自社のテクノロジーの学習だけでなく、自腹を切ってアメリカのシアトルに約2週間ほど滞在してマイクロソフト主催の開発者向けカンファレンスMicrosoft Build 2019への参加、最新Mixed Realityのトレーニング受講、全国のコミュニティへの参加や登壇のための事前準備、書籍執筆などなどを通じて多くの学習活動を並行して進めました。
[Point] 過去の成功体験にしがみついていては次に進むことはできません。「今」を変える自分の力を信じて失敗を恐れずに前進するのみです。

5. ダイバーシティ&インクルージョン

多くの外資系企業では、ダイバーシティ&インクルージョンのトレーニングが提供されていたり、定期的に関連イベントを開催していることと思います。企業によってユニークな取り組みが行われているため、入社前からチェックはしていたのですが、実際に社内イベントに参加してみるとこれまでに経験したことのない世界が広がっていました。今年は入社歴が短い社員として社内イベントに登壇する機会にも恵まれ、普段接する機会がない方々とも関わりを持つことができました。何よりも経験豊富な技術理事を務める女性との出会いは衝撃的でした。
[Point] ダイバーシティ&インクルージョンは、男女問わず強く活気のある組織を作る上で鍵を握っています。転職したら早いタイミングで一度はイベントに参加したり、ダイバーシティ&インクルージョンについて話ができる人を見つけておくと良いと思います。とくに女性エンジニアの場合は、困った際に道しるべをスムーズに得られるかもしれません。

自己反省していること

結論から書くと、個人のスキルよりも協調性チームワークを尊重し過ぎると、「動けない自分」を作ってしまうケースがあることを学びました。新しい職場に早く溶け込むために、疑問に思うことはどんどん声を出し、上記でも紹介したように自ら学ぶ姿勢で新しい環境の中、数々の挑戦に挑んでみましたが、改めて1年間を振り返ると、どこか 遠慮がち になっていた自分と アンコンシャス・バイアス (無意識の偏見) による正しくない理解や思い込みが自分を支配していたケースが発生していた事に気づきました。

エンジニア組織における「チームワーク」に貢献できること

これまでに国内外のIT企業でエンジニア職に従事し、共通して学んだことは「チームワーク」は、チームリーダーによる適切な働きかけにより、チーム内でチームワーク意識が浸透し、モチベーションがある中で生まれるということです。 その上で、チームワークを形成する上で各メンバーが貢献できる具体的なタスク例をいくつか挙げると、日頃の情報共有の徹底や、お互いに技術的なサポート、個別のミーティング設定、外資系の場合、日本語での議事録やレポート作成などなどが考えられます。テクニカルなタスクもあれば、必ずしもそうではないものも混在します。いづれも多少なりとも負荷が発生するため、人によってタイミングやスキルによってすぐに対応な可能な人と、そうではない人が必然的に生まれます。議事録などのように、その場に居る人であれば誰でも対応可能なタスクは公平性を保つために持ち回りでできるのがベストだと考えていますが、組織によっては役職や勤務年数によって割り振られているケースもあるかと思います。 転職後は、人によっては「いち早くチームに貢献したい」、という気持ちの焦りや強い意思から、自分が対応できそうなことを一気に引き受けてしまう傾向があるかと思います。ワタシの場合も、「とにかく自ら動けるだけ動く」ことを通じて貢献すると同時に学びを一気に加速させようとしたところ、本来の自分タスクとのバランス維持のため、自分のアプローチ方法やプロセスの見直しを何度も繰り返す場面がありました。また、そうした考えとは相反してテクニカルエバンジェリストやアドボケイトといった技術を広める活動を担うエンジニア職の特有の考え方かもしれないのですが、キャラ被りを避け、周りの様子を見ながら時折、シニアな自分は目立たないようにと振舞っていました。

結論

「チームワーク意識」は、そのチームの役割が企業にどのような価値をもたらすのかによって熱量期待値は大きく変わるように思います。転職1年目は、異なる文化に自分を置くわけなので同調圧力の不安が脳裏を横切ったとしても、自分の意見やリクエストを表明できるチームに所属しているのであれば、チームの一員としてコミュニケーションしながら適切なタイミングで「相談する」「頼めることは頼む」あとは「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が発生しないように務める」ことで、さらにパワフルな新しい道が拓けるのではないかと思います。

職場でこれまでに培った能力を、自分らしくさらに発揮することができるように、FY20に向けての準備はもう着々と始まっています。今後も感謝の気持ちを忘れることなく、一層ステップアップを目指して参ります。これからも叱咤激励、応援の程よろしくお願いします。

Have A Happy Life♪
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