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時間と空間を超えた現実 ~国宝「風神雷神図屏風」× Mixed Reality の世界~

皆さん、こんにちは。戸倉彩です。

昨年7月、博報堂博報堂プロダクツが、京都最古の禅寺として知られている 建仁寺 とコラボして Microsoft HoloLens (以下、HoloLens)を用いたアノ超有名な 国宝「風神雷神図屏風」 を題材に共同研究を開始すると発表されてから約7ヵ月...ずっと、この日を楽しみに待っていました!

という訳で、今回は急遽 「MR ミュージアム in 京都@建仁寺」体験会初日 に参加してきましたので、感想などを書き留めておきたいと思います。


[風神雷神図屏風×ホロレンズ]MRコンセプト解説ムービー

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そうだ 京都、行こう

「MR ミュージアム in 京都」と名付けられたこちらのプロジェクト。一般公開を始める前日!?のタイミングで、建仁寺京都国立博物館にて期間限定で開催することが発表されました。

プレス向け体験会に関する記事も続々と公開され始め、その内容に期待と注目が寄せられるのをネット越しに感じました。

やはり、これは京都へ行って何が起きているのか、ワタシも自分の目で確かめたい!何よりも、前職で出会ったパートナーの方々、プロジェクトに携わった元同僚、それを見守る関係者が成し遂げた喜びと成果を現地で見届けたい!という想いで、導かれるように京都の地を訪れることにしました。
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初めての建仁寺

これまで京都には何度も足を運んでいますが、建仁寺へ来たは初めてでした。 入口の門をくぐり境内に進むとすぐに建物が見えてきました。
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拝観料500円を支払い、パンフレットを受け取って入場します。
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目の前に「MRミュージアム in 京都 ~MR体験コーナー~」が設けられていました。
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体験する時間まで少し時間が出来たので、建仁寺の雰囲気や建物内を楽しむことにしました。

受付からすぐの部屋で...あれ?体験コーナーに置かれていると思っていた「風神雷神図屏風」がガラス超しのケースに展示されているではありませんか。状況を理解できないまま、美しい石庭へ進み、気づいたらすでに京都ならではの歴史ある非現実的な空間に身を委ねていました。
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建仁寺は、有難いことに撮影OKなので、訪れる人々はあちらこちらで撮影を楽しんでいる様子でした。
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「MR ミュージアム in 京都」鑑賞を初体験

さて、ここからはワタシが実際に体験した内容に移りましょう。
★天候や混雑状況によって受付から体験までの流れが、こちらの内容と異なる場合があります。公式サイトをご参照の上、早めに現地で受付をしてください。

受付から体験までの流れ

I. レッツ受付!

  • 一般公開は当日現地での受付となります。
    受付をしないと体験することはできません。場所や時間的な制約もあり、体験できる人数はかなり限定されますので朝早めの時間帯に受付を済ませておくのが良さそうです。※鑑賞体験は無料ですが、建仁寺の拝観料は必要となります。
  • 公式サイトには「数名づつ体験」と記載されていましたが、2名1組で体験しました。
    一人で参加する場合は、別の方と一緒に体験することになると思います。もし抵抗感がある方は知り合いの方と一緒に参加するようにしてください。
  • 13歳未満の方 は、残念ながら体験することができません。

II. 時間になったらワクワク体験タイム!

  1. 待合室にて椅子に座ってスクリーン動画を見て順番を待ちます。※混雑状況によって多少、時間が前後することがあります。
  2. スタッフの方から緒注意の説明があります。 このタイミングで不安な点や、疑問点があればスタッフの方に声をかけましょう。
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  3. 順番が来たら奥の体験できる部屋「本坊三十畳の間」に入ります。
  4. HoloLensの取り扱い方、装着方法、エアタップの操作方法を学びます。 f:id:ayatokura:20180223175710j:plain:w350
  5. 準備が整ったら、手渡されたHoloLensを頭に装着します。 ※初めての方でもスタッフの方がサポートしてくだるので安心です。
  6. 約10分のMRコンテンツを楽しみます。
  7. 終わったらHoloLensを着脱して、返却して終了となります。

体験できる内容

本プロジェクトには見どころとも言える4つの特徴があります。

  • Point 1: Storytelling
    ストーリーテリング手法」が持つ可能性で教育や文化の"体験を深める"
  • Point 2: Reference
    時間/場所を超えて参照される「3つの風神雷神図屏風」が美術館、博物館における"鑑賞体験の進化"や"研究方法の革新"を導く
  • Point 3: Imagination
    絵が伝える概念、作品に込められた願いや世界観を体験することで、 "想像力を掻き立てる""もっと知りたくなる" きっかけをつくる
  • Point 4: Interaction
    自分や他の参加者とホログラムを相互作用させ自らアクションを起こし、対話や行動を生みだっすことで "発見や感動" "知識の獲得" を促進する

【関連記事】HoloLensで国宝「風神雷神図屏風」を鑑賞できる“MRミュージアム”が公開

プロモーション用の動画 が公開されていますので、ご覧ください。
※ネタバレが嫌な方はスルーしてください。


[風神雷神図屏風×ホロレンズ]ホロレンズ体験デモ映像

戸倉彩 meets 国宝「風神雷神図屏風」× HoloLens!!!

風神雷神図屏風

実は...ワタシも初めて知りました。建仁寺に展示されている「風神雷神図屏風」が複製であるということを...。原画は京都国立博物館で管理されているとのことです。ただ、複製と言ってもキヤノン社が最先端技術を用いて、原寸大に印刷、金箔加工などを施した高精細複製品とのことなので、再現性は非常に高いかと言えるかと思います。
また、今回の「MR ミュージアム in 京都」では、先ほどの別の部屋で見かけたものとはまた別のものが使われていました。 HoloLens越しに本プロジェクトを通じて見た初めての「風神雷神図屏風」は、ワタシにとって格別な迫力がありました。 f:id:ayatokura:20180223180225j:plain:w600

パフォーマンス

極めて完成度の高いMRコンテンツであり、現実かバーチャルかという境界線を忘れてしまうほどの快感が突き抜けました。いくつかのシーンを行きつ戻りつ、最初から最後まで安定感のあるなめらかな動作と、エアタップ反応にパタパタと生成されるコンテンツは、人間のストレス無くMR体験できるレベルに達していたと感じました。技術的実態は明らかにされていませんが、HoloLensの限られた性能や機能を駆使して実装されたこのUWPアプリケーションに、開発したエンジニアさんの努力とこだわりが伺えました。
★ホロレンジャーMemo★
裏側では、HoloLensの調整やコンテンツ制御のためにWindows PCで関係者が監視しながら「MR ミュージアム」を提供していました。
【関連記事】「風神雷神図屏風」とHoloLensで生まれる驚きの世界

3Dモデル - 僧侶

本コンテンツでは、国内で初めてマイクロソフト社のMR専用3Dスタジオ「Microsoft Mixed Reality Capture Studio」で撮影されたリアルな人間の3Dモデルが使われています。僧侶・浅野俊道氏をモデルにした等身大のサイズで、動きを正確にトラッキングして制作された3Dは、細部までしっかりと計算されていてシャープでキレイでした。プロモーション動画では浅野氏が亡霊のように表示されていますが、実際に体験してみて、そのリアルさに興奮気味になってしまいました。インパクト抜群です!

ご本人さまは「まさか私がこういう風な形で3Dキャプチャーで撮られるなんて思わなかった」と話していました。
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【関連動画】[風神雷神図屏風×ホロレンズ]メイキング

★ホロレンジャーMemo★

  • HoloHoloLensに合わせてポリゴン数は撮影時の半分くらいに落としたそうです。実際のポリゴン数は非公開とのこと。
  • フレームレートは30fps。
  • HoloLensの特性上、少し離れないと全身の姿を見ることはできませんでした。

【関連記事】世界初!? 動画3Dスキャンの僧侶が解説する博報堂・HoloLens「MRミュージアム in 京都」がスゴかった!

空間演出

クリエイティブな博報堂や関係者の力強さを見せつけられました。ストーリー展開に基づいてMRによる映像コミュニケーションに加えて、インタラクティブな演出により体験コミュニケーションを同時に体験することができました。2人1組でお互いに見ているものをシェアリングによって共有できることで、その場だけが持つ独特の空気感と一体感も味わえます。情熱を持って創り上げられた空間とエクスペリエンスそのものがコンテンツであり、時間という枠を超えて新たな不思議さと冒険心を与えてくれました。

★ホロレンジャーMemo★

  • 体験した部屋は、20畳くらいの四方でした。
  • 照明はコンテンツが最も美しく配信できるように、間接照明などで調整されていました。
  • HoloLensの空間認識を使うことで、床や天井などの平面を検出させることで自在にオブジェクトを配置することが出来るようになりますが、シーンによって意図的にメッシュを表示させることで空間演出デザインを試みていたり、さまざまなテクニックが盛り込まれていました。

戸倉彩のまとめ

2019年に開催される 国際博物館会議京都大会「ICOM KYOTO 2019」 に向けて、より完成度を高めるべく、今回の「MR ミュージアム in 京都」体験会の第一弾がスタートしました。日本の伝統を未来へ紡ぐ、そんな熱い想いが詰まっている 国宝「風神雷神図屏風」× Mixed Reality プロジェクトの体験を通じて、従来の現地スタッフや観光案内音声ガイドによる案内等の手法では実現できなかったMRならではの没入感と共に歴史を学び、作品に込められた想いが少しだけ分かった気がしました。

"複合現実(MR)から始まる現実"という新しい歴史が、今、一歩一歩刻まれています。

「MR ミュージアム in 京都」の鑑賞体験会が開催されている期間に時間の許す方は、ぜひ京都観光やリフレッシュも兼ねて体験してみて下さいネ。
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